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カテゴリ:本( 7 )
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■ 本にまつわる話
まだこちらに来て間もない頃、なかなか家も決まらずホテル住まいをしていた。
エセとはいえ、一応イタリアンルネッサンスを模したホテルだった。
夜は暇で、日本から持ってきた本を読み始める。
エリザベス・コストヴァ の書いたヒストリアン

少女がふとしたことから父親の書斎で見つけた「本」。その中には何も書かれておらず、古い手紙の束が入っていた。
「不運なるわが後継者へ」と書かれたその手紙から、この壮大なドラキュラ伝説が始まった。
そんなホテルの佇まいも手伝って、それはそれは不気味な雰囲気が盛り上がり、びくびくしながら毎晩読み進んだ。
何が恐ろしいと言って、ドラキュラが出てこないところがなんとも不気味で冷や汗が出る。

娘の現代から始まり、娘の子供時代に遡り、さらには父親の青春時代へと話は飛び、現代と過去を、その本にまつわるおぞましい過去が解き明かされる。
NHKの週間ブックレビューでも大変評判で、納得の読み応えであったが、どうしたわけか日本での評判は芳しくなかった。
いわゆるジェットコースターホラーではないのが売れない原因か?何度も読み返さないと話が繋がらない難しさが原因か。
じっくりと恐怖を味わいたい人向け。

そしてもう一冊。これまた本にまつわる謎が謎を呼ぶ冒険恋愛ミステリー、カルロス・ルイス サフォンの風の影
この手の翻訳物では珍しいスペインもの。
少年が父親に連れられ霧深いバルセロナの街の、とある場所にある「本の墓場」で偶然にもその本を見つける所から話は始まる。
謎の作者、そしてその作者の本が何者かによって回収されているようで世の中にほとんど出回らない謎。
その作者の過去と主人公の時代が交錯し、熱い恋愛も絡んで大波乱。
この本は欧州を始め各国で翻訳されているが、いわゆる口コミ的伝播により世界中で大ヒットとなったそうだ。
しかし、せっかく古式蒼然とした内容にもかかわらず、翻訳が現代口語でなんともその時代の雰囲気を大いに損ねている。

すでにアマゾン古本では1円等という値段も付いて、読書の秋は過ぎてはいるが炬燵で楽しむドラキュラ伝説はいかが?
風の影なんて言うすてきなタイトルに十分納得の読み応え。

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by sa55t | 2008-11-25 04:26 |
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■ 三月は深き紅の淵を
そう、恩田陸の本のタイトル。
最近ずいぶん彼女の本を買い込んでベッドの中で夜な夜な読んでおります。
恩田陸・・・・・、たぶんに女性的で女子校的で、特有の青さがあり、婆臭くなく、なんとも奇妙な小説を書く人。
ホラー作家に大別されるときもあるけれど、私は奇妙作家と呼びたい。大好きな作家だ。
そして「三月は・・・・」ある本をめぐる不思議な不思議なお話。奇妙な四部作。

「十月は・・・・・」は、そう、おまえたちの誕生日の月。毎月毎年勢いよく育っていく姿を見て嬉しいような寂しいような。
でも、元気に大きくなれよ。

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by sa55t | 2008-11-02 06:13 |
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■ 山妣 やまはは
新潟の明治末期の山奥の雪深い山村を舞台としたのお話。怪奇伝説とも言える直木賞受賞小説「山妣」
この領域は坂東真砂子の得意とするところ。「桃色浄土」もそうであったがそれぞれの時代のまたそれぞれの地域の澱のようなものが凝縮され、彼女独特のドロドロ感に時間のたつのを忘れて没頭する。この豪農の住まいなど、子供ころ訪れた関川村の大きな農家とイメージがダブり臨場感はひとしお。いろりの上に渡された大きな煤けた梁。中三階とも言える天井付近の部屋、そしてもちろん分厚い茅葺き屋根。こんな中で2-3日遊んだ記憶がある。
当時?の新潟弁も秋田訛りもきつくて意味不明なところがますます時代感なり地域感を盛り上げまさにその時代のまっただ中にいるような錯覚を覚える。
彼女は一応「死国」等、ホラーということで名を馳せたが、これら伝奇小説でその真価が見える。そして彼女の小説で一番怖いのは女の情念。短編集「葛橋」の中の「一本樒」これは本当に恐ろしい、げに女性は恐ろしや。タヒチで色々あった人だけれど、作家はそのぐらい話題性がないとね。

さてさて山妣の主人公はこんなカッコウで野山を駆け巡っていたのか?
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by sa55t | 2008-04-21 03:06 |
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■ 京都議定書
家畜のゲップに含まれるメタンの量も計算される。
例えばニュージーランドでは4000万頭の羊のゲップを計算すると国全体の排出量の半分!に相当するという。
日本では沖縄にいる水牛80頭のゲップも計算する。(朝日新聞)

研究に出資する側は--それが製薬会社であれ、政府機関であれ、環境保護団体であれ--これこれの結論を出して欲しいという思惑を持つ。何の縛りもなく、自由に結論を出して良いとする出資者はまずいない。科学者の側は、今後も継続して資金を出してもらうためには、出資者が望む結果を出さなくてはならないことを知っている。そのため、環境保護団体の発表する”研究成果”は企業サイドの発表する”研究成果”に負けず劣らずバイアスが掛かってしまう。政府発表の”研究成果”もまた、同じように偏向している。どちらに偏向するかは、依頼主の省庁やその時々の為政者によって変わるが、偏向していることに変わりはない。公正で偏りのない結果を許容する出資者など、この世には存在しないのである。(マイケル・クライトン「恐怖の存在」)

地球温暖化が叫ばれて久しいが、米が逃げている理由の一つに、二酸化炭素に因る温暖化傾向に科学的な根拠がないというものがある。
最初は米企業保護的プロパガンダであろうと思っていた。単純に地球は暖かくなり始めていると感じていた。
こういう岬に立つにつけ、この国の環境への無関心、周辺国の環境どころではない、明日の糧を求める幼児を抱えた5-6歳の世帯主を見るんつけ、そしてプラネットアースの驚異の映像を見ても、どうもこの地球というマクロの生態系はチョットやそっとでは破壊が出来るものではないと感じられるようになってきた。
先進国のヒステリー的恐怖観。それを煽るマスコミ。調査捕鯨反対の過激なテロ的行動。どうも我々先進国の意味不明の思惑で動いているような気がしてならない。自分たちが十分享受してきた文明のツケを、食うや食わずの貧国の国民に二酸化炭素タテに何かを押しつけているようでならない。
そして50億年に渡る地球の瞬きにも満たない一瞬の人間が存在し得る生態系に「小さな」変化が現れても、俯瞰的に見たときの地球には何事もなかったかのように、次の種の反映を地球は暖かく迎え入れてくれるのではないだろうか?恐竜が滅んで次の種が繁栄したように。
岬に立ってそんなことを考えた。
そんなときに「恐怖の存在」を読んだ。まさに我が意を得たりの内容で、こういう大作家から地球温暖化やヒステリックなまでの環境保護運動へ対峙する意見が読めたのは溜飲が下がる思いだった。

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by sa55t | 2008-03-17 04:03 |
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■ スーザンとモード
もちろんサラ・ウォーターズ、邦訳第二弾「荊の城」。
19世紀半ばのロンドンから話は始まる。ディケンズを意識した舞台設定、その描写は当時に引き込まれたよう。
彼らの倒錯した生活、官能と陰謀、執拗ないじめ、古式然とした古い館の描写。もう舞台は完璧。
もうすごいすごいで読み進み、そしてどんでん返しでひっくりがえり、意外な読後感は秀逸。
そしてスーザンとモードの摩訶不思議な運命!こんな事って、ま・さ・か、 あ・り・え・な・い・・・・・・絶句。

これは大人の物語です。よい子は読まないようにね。
「よい子のままの大人になった人」も読まない方が宜しいでしょう。厳しいです。

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by sa55t | 2007-11-15 00:58 |
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■ 午睡
ウトウトと初夏の木漏れ日の中で本を読む。
宮部みゆきと志水辰夫
「火車」と「ラストドリーム」

火車。ローン地獄の怖さ、犯人も被害者も出てこない怖さ。
宮部の中でも一二を争う面白さ。「燔祭」や「クロスファイア」の
青田淳子のような孤独な主人公は相通ずるものがあり、そんな孤独な犯罪に時間をわすれる。

ラストドリーム。相変わらずの志水節だが老境に入った志水が事件性も無く淡々と話を進める中に「餓えて狼」「背いて故郷」「行きずりの街」のスピード感はなお健在。
事件になりそうでならなくて、老獪な大人のミステリー。
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by sa55t | 2007-09-25 04:21 |
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■ パルファム (bis)
パパの鼻が死んだのは2000年4月にしてある。
それまでは本当にグルヌイユほどに鼻が利いていた。そして今は人並み以下か。
「香水」を読んだよ。お前達にはまだ難しい。

何より翻訳が素晴らしかった。翻訳臭さがなく老獪な訳が本当に素晴らしい。
そして内容。とことんニオイに拘って、まあ、色々なニオイの出てくること。
殺人はあるものの、それとてニオイの為のほんのお飾り。
とにかくニオイニオイニオイ。18世紀のフランスを堪能したよ。
でも書いたのはドイツ人。 ん?

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by sa55t | 2007-09-24 16:59 |