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デジタル時代になって銀塩紙焼き自体が貴重になりつつある今、BW自体が間違って解釈されているような気がする。 カラーしか知らない人にはBWは新鮮に映り、スキャンだけのBW派には紙焼きが新奇なものとして捉えられる。従い紙に焼きさえすれば、すごいすばらしい等と誤解されがちになる。ましてやバライタに焼こうものなら手工芸品?これじゃおかしい。 紙焼きも色々で写真展などを見るともっと「真面目に焼けよ」と言いたくなり絵が多い。ファインプリントの定義は分からないが、ここにこだわる人間もいる。 1.ネガが綺麗に?上がっていること 2.どちらかというと精密画的写真が多い、従い中判大判が多い 3.いろんなテクで一枚を仕上げている 4.上がりの作品はそれはもう美しい 5.(ここが肝心)美しいプリントではあるが、おうおうにしてつまらない「写真」が多い 画廊で言えばPGIやパストレイズ辺りに多い絵がそれにあたる。 決してニコンサロンではない。 そしてペンタサロンや銀座のフジにかかるような大焼きカラーの山岳や花はファインプリントでは決してない。 ということでパパはファインプリントにこだわった。 ゾーンを基本にした焼き方で仕上がりにこだわった。 これがなかなかすぐに会得出来るもでなく、綺麗にこだわりすぎてつまらない絵に10時間近く掛けていた。引き伸ばし機のライトの下で遮光紙を素早く動かしたり、手をマジックのようにグニャグニャ動かしている様は端から見れば異様に見える。それを何時間も続ける。 中判大判はファインを心がけ、35mmは機動性を追った。 最近デジタルをやるようになり、さらに撮影枚数は増え、ずいぶんと別の角度から被写体が見えるようになった。これは自分的に大きな進化でデジの恩恵かも知れない。そして多分写真の本質はこちらになるような気がする。 ファインプリントにつまらぬ絵が多い中、Rolfe Hornはすばらしい絵を出している。ケンナの助手を務めた事もあるRolfeはケンナテイストにあふれている。 彼の実物写真は見たことがないが是非どこかで見てみたいものである。webではその真価は分からない。彼のHP上の、その「technique」という項目に焼きの秘密が一部公開されている。 同様のファインプリントテクニックの超絶技巧士の岡崎正人がいる。アンセルアダムスなど足下にも及ばないファインプリントである。彼の秘密も「techinique」で詳しく公開されている。ファインプリントに興味ある人はいかが? パパと手法は似ているがあそこまで徹底したファインプリントは出来ない。 バキュームフィルムホルダーやバキュームイーゼルなどとてもとても。現像液から作る懲りようである。しかし当時紙はオリエンタル。 一枚仕上げるのにパパも同様の試行錯誤を繰り返して一枚がようやく仕上がる。手塩に掛けた作品はしかし残念ながら発表の機会も無くお蔵入り。 しかし昨今、一枚の同じネガから同様の事がPS上で出来るのであろうか。 HDRやDライティングなどで計算上の絵は出つつあるが手焼きの意志が入らない。 おまえたちの頃には多分感材は無いだろう。写真に興味を持つかも分からない。 でも、パパの残した紙焼きはたまには見ておくれ。人生の結構な時間を費やした焼き物だ。 ファインプリントではない 尼康的北京2 F100/Cosina19-35/TX
by sa55t
| 2008-02-18 05:22
| プリント
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