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実際このビデオと現実は如何ほどの差があるのだろうと相当かまえて入っていった。 ビデオの宣伝曰く、グローバル経済に取り込まれたアフリカの一地域で引き起こされた悪夢のような現実を描き出す衝撃のドキュメンタリー。かつてその生物多様性から“ダーウィンの箱庭”と呼ばれていたアフリカのビクトリア湖。しかし半世紀ほど前に放たれた肉食の外来魚“ナイルパーチ”は湖の生態系を破壊する。その一方で、淡泊な白身が食用に適していたことから、湖畔の町にはEUや日本へ向けたナイルパーチの加工・輸出産業が誕生する。しかし、新たな経済は貧富の差を拡大し、地域社会に大きなひずみをもたらしていく…。 ところが実際はこのビデオの内容とはほど遠く、ナイルバーチに因る功罪ひとまず置いておくとして、この町は発展しタンザニア第二の街へと変貌していった。 ビデオは現地人に言わせると7割方嘘といい、確かにあの酷い光景はどこにも無い。と言うかあの酷い光景は逆にアフリカ一般に言えることだ。特に夜などは何処でも見られることかも知れない。 上映に際しタンザニア政府が強硬に抗議した事は大いに頷ける内容である。 とにかく街は発展し当然貧富の差を生み、しかし他の村々に比してやはりいろいろな所に金は落ちている。 そんなかな、乱獲が祟ってか一時よりは漁獲高は下がり、一時の勢いは無いという。 漁民たちも底抜けの笑顔はない。 駅前とも言える空港前。首都からはプロペラ機で2時間。一日4便が飛んでいる。 日本で口に入るほとんどの白身魚はナイルバーチと言うことらしい。 広い北海道の9割ほどの大きさの湖、それは遠くナイルを下りエジプトまで達する。 輸出専門魚であるナイルバーチは当然地元でさばかれる事はなく湖畔の加工工場へ搬入されてからは地元民の目に触れることはない。地元漁民は煮干しの如き淡水魚を砂の上で乾かし、それを主に食している。 潤っている感じは無いものの、貧窮しているは言えない。やはり水のある所の民は生きながらえる。 逆に少し気が抜けたような訪問になったが、あのビデオの編集は白人の固定観念が作り上げたもののようだ。それに踊らされた審査員はアカデミーXX賞のみならず世界各地の賞を総なめしたようだが、現場を見るとなんともむなしさが残る。
by sa55t
| 2009-03-29 06:49
| 旅
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